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法律事務所勤務と企業弁護士【仕事の内容の違いについて】

弁護士は社会的な地位と安定した収入が魅力であるため、世の中で弁護士になろうと考えている方は一定数存在します。

士業の中でも、弁護士は非常に魅力的な職業ですが、職場によって業務内容が大きく異なるので、弁護士を目指している方は注意してください。

この記事では、法律事務所勤務の弁護士と企業弁護士の違いや共通点について説明しています。

自分がどちらの職場に向いているのか、参考にしてください。

法律事務所勤務の弁護士と企業弁護士の違いは?

法律事務所勤務と企業弁護士には、次のような違いがあります。

  1. 働く場所
  2. 報酬の出処
  3. 勤務時間
  4. 仕事内容

同じ弁護士ではあるものの、法律事務所の弁護士と企業弁護士には、少なくとも上記のような大きな違いがあります。

働く場所

法律事務所の弁護士とは、勤務場所が法律事務所の方のことです。

それに対して企業弁護士とは、企業に雇用され、企業内で働く弁護士のことを指しています。

法律事務所も会社組織であるものの法律専門の会社ですが、企業弁護士が雇用される会社は法律とは関係のない一般企業です。

報酬の出処が異なる

法律事務所の場合、弁護士事務所に仕事を依頼する一般の依頼者や会社が報酬を支払います。

それに対し、企業弁護士の報酬は雇用されている企業からの給料です。

つまりサラリーマンと同じ扱いということになるため、毎月の収入は比較的安定します。

仕事の時間

法律事務所での仕事は、依頼が完了しなければ終わりませんが、企業弁護士の就業時間は就業規則によってしっかり定められています。

基本的に企業弁護士の場合は、仕事を自宅まで持ち帰るという事はありません。

仕事内容の違いとは?

こうした違いに加えて、法律事務所の弁護士と企業弁護士には仕事内容に大きな違いがあります。

法律事務所勤務の弁護士の仕事内容

法律事務所で勤務する弁護士の主な仕事は、個人や法人組織によって起こされた民事事件を担当することです。

刑事事件を起こし検事によって起訴された被告人や被疑者を弁護する刑事事件を扱うこともありますが、民事と比較すると割合としては多くありません。

企業がクライアントになれば企業法務を扱うこともありますし、契約書の作成や権利関係の申請などを行うこともあります。

このように法律事務所の弁護士の扱う仕事の種類は、数えきれないほどのものになります。

企業弁護士の仕事内容

これに対して、企業弁護士の仕事の内容は企業法務がほとんどであり、基本的には企業内の法務部門で働くことになります。

当然、個人や他の企業が弁護や法律関係の仕事を依頼してくることはないので、雇用されている企業のためだけに働きます。

企業や会社を守るために働く弁護士とも言えるでしょう。 取引先や従業員に関係する民事や刑事事件を扱うこともありますが、あくまで雇用されている企業が関係する場合のみです。

企業弁護士を雇っている業種としては、外資系金融機関や保険会社、IT関連会社などがあります。

ですから企業弁護士は、企業法務だけできていれば良いというわけではありません。 法律だけでなく、会社経営など一般企業に関する知識も必要になるため、弁護士として経験のある方でも一から学ばなければならない事も多々あります。

具体的に言うと企業弁護士には以下の分野における知識が要求されることがあります。

  • 企業の業種ごとの専門知識
  • M&A
  • IT関係
  • マネジメント

通常の法律事務所では、あまり必要とされないような上記のような知識が、ほとんどの企業弁護士には求められます。

弁護士の職場環境でのメリット・デメリット

企業弁護士と法律事務所の弁護士の違いについて説明してきましたが、メリット・デメリットについても見てみましょう。

法律事務所のメリット・デメリット

法律事務所で働くことのメリットは、時間を比較的自由に使うことができることです。

あくまで引き受けている依頼を完了させることができれば、スケジュール管理は弁護士に一任されます。

法律事務所の優秀な弁護士であれば、報酬額を自分で決められる事もあるため、年収が高くなる事もあります。

デメリットは、裁判や交渉において個人や会社の代理人として活動するため、責任が重く精神的な負担が大きくなります。 さらに多くの雑務を自身で担当しなければならず、法律関係以外の仕事量が多くなってしまいます。

企業弁護士のメリット・デメリット

企業弁護士のメリットは、収入が給与になるため安定した年収を得られることです。 さらに企業に雇われるため、有給や社会保険などの福利厚生が手厚くなります。

最も大きなメリットは、経営やビジネスの専門弁護士としての特別なスキルを伸ばすことができることです。

デメリットとしては、民事事件や刑事事件を担当する機会が少なくなってしまうことです。 ほとんどの業務が企業法務になるため、訴訟などを担当したい弁護士にはデメリットになるでしょう。

このように法律事務所の弁護士と企業弁護士では、同じ士業であっても仕事内容が異なります。

全く異なるというわけではないですが、企業法務に特化しているのが企業弁護士です。 どちらの立場が優れているというわけではなく、どのような仕事をしたいのかという観点で選択すると良いでしょう。

法律事務所から企業弁護士へと転職する方もいれば、その逆のケースもあるため、自分自身が弁護士として何をしたいのかを明確にしておくことが大切です。

企業内弁護士に転職する前に知っておきたい注意点

法律事務所での経験を積んだ後、企業内弁護士へと転職する弁護士の方が増えてきているそうです。

弁護士全体から見た、企業内弁護士の割合はまだまだ多くはありませんが、弁護士を雇う企業は年々増える傾向にあります。

ステップアップとして魅力的な企業内弁護士ですが、転職を決定する前にこれからご紹介する注意点を確認しておきましょう。

企業内弁護士の就職先

企業内弁護士として転職する場合、どのような職場があるのか理解しておきましょう。 大きく分けると以下のような2つの就職先があります。

  • 金融機関に就職
  • 事業会社への就職

それぞれの就職先で、企業内弁護士に求められる仕事を確認してみましょう。

金融機関での業務

金融機関に就職すると、基本的には法務部の仕事を担当することになります。

訴訟や契約・コンプライアンスなど法務部門を担当する企業内弁護士として処理します。

しかし、それだけではなく次のような業務も含まれてきます。

  1. 企業買収M&A
  2. 特別目的会社SPCの設立
  3. 与信受信の問題を解決
  4. 審査部門
  5. 投資部門

これまでの法律事務所では、ほとんど行ってこなかったかもしれない業務が金融機関に就職すると含まれてきます。

つまり金融商品や金融取引の知識が求められる特殊な仕事です。

事業会社での業務

事業会社に企業内弁護士として就職すると、やはり法務部門がメインの仕事となります。 但し、金融機関とは異なり金融関連の業務が少なく主に以下の業務を行います。

  1. コンプライアンス業務
  2. 訴訟関連業務
  3. 契約書作成
  4. 知的財産権
  5. プロバイダ責任法(IT企業の場合)
  6. 薬機法(企業が製薬会社の場合)

このように基本的な法務に加えて、就職した企業の業務分野に関する法務を担当することになるため、やはり特別な知識が求められてきます。

さらに事業会社への就職には、会社の規模によっても業務内容が若干変わってきます。

大手企業に就職した場合、通常の国内法務に加えて、取引先が海外企業になる可能性もあるため国際法務を担当する機会も出てきます。

外資系企業に就職する場合は、基本的な契約書作成やコンプライアンス業務も英語で行うことが劇的に増えるため高い英語力がある方が有利です。

ベンチャー企業の場合は、大企業では分担された法務関係の仕事や特許関係の仕事を自分1人で担当しなければなりません。

加えて経営や事務作業、雑務まで担当することもあり、短い時間で幅広い知識と経験を得られる機会となります。

企業内弁護士といっても、就職する企業の規模や業務分野によって、弁護士が担当する業務には大きな差が出てくる事を覚えておきましょう。

企業が個人受任を認めているのか?

企業内弁護士として就職する時には、転職前に企業が個人受任を認めてくれるのか確認しておきましょう。

個人受任案件とは?

個人受任案件とは、転職後に所属する企業の仕事以外の仕事を個人的に受けることです。 具体的な個人受任案件とは以下のようなものです。

  • 友人や知人から受ける法律上の相談や手続き依頼
  • 弁護士会や法テラスを通じて受ける法律相談
  • 国選弁護人として業務を行う

こうした業務は、弁護士であれば日常生活の中でよく生じることです。

もし転職しようとしている企業が、一切の個人受任案件を認めないと規定しているなら、上記の3点の業務は行ってはいけません。

たとえ人助けであっても依頼として受けることは契約違反になります。

最近では個人受任案件を許可する企業も増えてきていますが、100%の企業が認めているわけではないので事前の確認が重要です。

特に社員全体に対して副業を禁止している企業であれば、企業内弁護士にも同じ規則が適用されます。

個人受任案件の報酬はどうなる?

仮に転職先の企業が、個人受任案件を許可してくれた場合、報酬はどうなるのでしょうか?

法律事務所の場合、事務所の一室を個人事務所代わりに使用しているなら、報酬の一部を企業に対して支払うのが一般的です。

しかし企業内弁護士の場合は、報酬の一部を企業に渡すなら非弁行為となり、弁護士法第72条違反となるので注意してください。

情報管理は徹底する

多くの時間を会社で過ごすことになるため、個人受任案件の情報も会社で処理することが増えてきます。

しかし企業内の案件ではないので、守秘義務のために情報管理は徹底させなければなりません。

時間配分をしっかり定める

企業内弁護士として転職した場合、最も重要な業務が企業に関係する業務です。

どんなに個人受任案件が忙しくなったとしても、企業法務を疎かにしてはなりません。

他の社員との軋轢や不和を生むきっかけになるため、自覚を持って業務に当たりましょう。

企業内弁護士として転職を考えておられる方は、就職先の違いによって、業務内容が変わることを覚えておきましょう。

加えて大規模な企業なのか、ベンチャー企業なのかによっても業務内容は大きく変化します。

また個人受任が許可されるかという点も、弁護士として活動できる幅に大きく影響してきます。

ですから、現在法律事務所で働いており、今後企業内弁護士として転職するのであれば、面接時に個人受任が可能か確認してください。