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中小企業の特別減税制度の特徴と節税対策になるエンジェル税制について

中小企業に課せられる法人税の納付は義務であると同時に、ときに悩みのタネでもあります。

できるだけ節税したいと考える中小企業にとって強い味方になるのが、特別減税制度です。 ここでは主な制度とその特徴をまとめました。

中小企業のための特別減税制度

中小企業が利益を上げ続け、経営を続けていくことは容易ではありません。

従業員を雇用したり設備投資したりするのにもコストがかかり、当然のことながらそれらにかかる税金も支払わなければなりません。

そんな中小企業を支援し生産性を向上させる目的で、税額控除や特別償却などの措置が受けられる様々な特別減税制度が定められています。

自社の目的や条件に合った制度を利用することで効果的な節税が行えるので、いくつかご紹介しましょう。

  1. 中小企業投資促進税制
  2. 中小企業技術基盤強化税制
  3. 革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は税額控除
  4. 給与等の引上げ及び設備投資等を行った場合等の税額控除

中小企業投資促進税制

設備投資を行う中小企業のための減税制度で、製造や建設などの指定事業用に機械を購入する場合の費用について特別償却もしくは税額控除を受けることができます。

適用期限は令和2年度(2020年度)末までで対象は資本金が1億円以下の法人や農業協同組合等、もしくは従業員数が1,000人以下の個人事業主です。

個人事業主や資本金3,000万円以下の中小企業については30%の特別償却または7%の税額控除、資本金が3,000万円を超える中小企業については30%の特別償却が認められます。

中小企業技術基盤強化税制

中小企業が行う試験研究費にかかる法人税について、一定割合の税額控除を認める制度です。

適用対象は青色申告書を提出する中小企業者または農業協同組合等で、平成29年(2017年)3月31日以前に開始した事業の試験研究費について12%の税額控除を受けられます。

この制度の適用を受けるには、対象となる試験研究費の額と控除額を書類に記載し、明細とあわせて確定申告を行う必要があります。

試験研究費の総額に係る税額控除制度と重複して適用を受けることはできないので注意しましょう。

革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は税額控除

認定革新的データ産業活用事業者である青色申告法人を対象に、特定ソフトウエアの新設を行う場合の設備投資費用について特別償却と税額控除の選択適用を認める制度です。

特定ソフトウエアとは生産性向上特別措置法第29条に規定されている革新的データ産業に活用するためのものを指します。

指定期間は生産性向上特別措置法の施行日から令和3年(2021年)3月31日までで、設備投資にかかる費用の合計額が5,000万円以上の場合が対象となります。

特別償却の限度額は取得価額の30%相当額、税額控除の限度額は取得価額合計の3%です。

ただし次の計算式で算出される割合が3%を超える場合には税額控除が5%まで上乗せされます。

★(継続雇用者給与等支給額 - 継続雇用者比較給与等支給額) ÷ 継続雇用者比較給与等支給額

給与等の引上げ及び設備投資等を行った場合等の税額控除

国内雇用者に給与等を支給する青色申告法人を対象に税額控除を認める制度です。

対象年度は平成30年(2018年)4月1日から令和2年(2021年)3月31日までの間に開始する各事業年度で、原則となる摘要要件は次のすべてを満たすことです。

  • 雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額
  • (継続雇用者給与等支給額 - 継続雇用者比較給与等支給額) ÷ 継続雇用者比較給与等支給額 >= 3%
  • 国内設備投資額 >= 当期償却費総額 × 90%

税額控除額は(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額) × 15%ですが、次の要件を満たす場合はプラス5%となり20%が控除対象となります。

★(教育訓練費の額 - 比較教育訓練費の額) ÷ 比較教育訓練費の額 >= 20% いずれの場合も適用年度の調整前法人税の20%相当額が上限です。

特別償却と税額控除の違いについて

制度によって税額控除と特別償却のどちらかが受けられる場合がありますが、それぞれの違いについても説明しておきましょう。

設備投資などを行った際にその設備が使用できる期間にわたって費用化することを減価償却といいますが、特別償却は初年度の償却率を高めるための制度です。

税額控除は費用にかかる税金の一部を法人税の20%を上限として控除する制度で、控除分がそのまま節税になります。

特別償却は初年度の利益が特別に高い場合には節税効果が高まりますが、設備の耐用年数全体では計上できる総額に変わりはありません。

長い目で見ると必ずしも節税効果が高いとはいえない点に注意が必要です。

特別減税まとめ

中小企業投資促進税制や中小企業技術基盤強化税制などの特別減税制度は、節税を行う中小企業の強い味方です。

こうした制度の適用を受けられるか否かで、支払う税金の額は大きく変わってきます。 適用条件が変わったり適用年度が延長されたりすることもあるため、常に最新の情報をチェックしておきましょう。

税額控除と特別償却のどちらかを選択できる場合には単年度だけでなく長い目で節税効果を判断することも必要です。

自社の事業目的や要件に合った制度を利用することで、節税を行うことができるでしょう。

法人の節税対策になるエンジェル税制って何?活用の仕方は?

ベンチャー企業を応援するエンジェル投資家にぜひ活用してほしい制度のひとつに、エンジェル税制があります。

投資を希望する企業と投資家をつなぐ架け橋としても注目されている、とても意義のある制度です。

法人の節税対策としても有効なエンジェル税制の仕組みや活用方法などについて解説します。

ベンチャー企業を応援する、エンジェル税制

エンジェル税制はベンチャー企業に投資したエンジェル投資家に対して、減税などの優遇措置を適用する制度です。

新規事業に取り組むベンチャー企業を支援するエンジェル税制は産業の発展に欠かせない制度として注目されており、この制度を利用した投資によって大きく成長した有名企業も少なくありません。

優遇措置は投資を行った年とベンチャー企業の株式を売却した年の2つのタイミングで受けることができます。

投資を行った年に受けられる優遇措置

ベンチャー企業に対し投資を行った年に受けられる減税の優遇措置にはAとBの2種類があり、投資家ごとに最適なものを選択できます。

優遇措置Aは投資を行った額に関して所得税の控除が受けられるもので、投資額から2,000円を引いた額がその年の総所得金額から控除されます。

この2,000円は寄付金控除の自己負担額で、平成22年4月1日の改正で5,000円から減額されたものです。

控除額の上限は総所得額の40%もしくは1,000万円のいずれかのうち低いほうの額となります。

優遇措置Bは投資を行った年に発生した株式売買の利益から投資額全額を控除できるもので、こちらには控除額の上限がありません。

ベンチャー企業の株式を売却した年に受けられる優遇措置

投資した企業の株式を売却して損失を出した場合、他の株式売買によって生じた譲渡益との損益通算を行うことができます。

同年内に通算しきれなかった分は翌年以降3年にわたって繰り越し通算ができるため、その分節税を行うことが可能です。

万一ベンチャー企業が破産した場合でも繰り越しての損益通算ができますが、投資を行った年に優遇措置を受けた場合はその控除額を差し引いて損失が計算されます。

減税対象となる要件

エンジェル税制で減税を適用される企業の要件は、受けられる優遇措置のタイプによって異なり、次のようになっています。

優遇措置A

★設立3年未満の中小企業であること

優遇措置B

★設立10年未満の中小企業であること 共通

★研究者あるいは新事業活動従事者の人数および対常勤役員比率、収入金額に対する試験研究費の比率などが設立経過年数に応じて定められた要件を満たすこと

★特定の株主グループからの投資合計が83%以下であること

★資本金1億円を超える大規模法人およびその子会社等の所有に属していないこと

★未上場で株式会社で風俗営業等の事業会社でないこと 企業を支援する投資家の要件は次のとおりです。

★対象企業の株式を金銭の払い込みにより取得していること

★対象企業が同族会社である場合には、所有割合が第3位までの合計50%を超える株主に属していないこと 他人から譲り受けた株式や現物出資により取得した株式の場合は対象にならないので注意しましょう。

手続きの流れ

エンジェル税制の申請手続きから税金の還付を受けて確定申告を行うまでの流れは次のようになります。

企業

都道府県庁にて税制適格の確認申請を行う

★税制適格を証明する確認書の交付を受ける

★投資家に必要書類を交付する 投資家

★必要書類を揃えて税務署にて確定申告を行う

★税金の還付を受ける 投資家が起業に投資する方法としては、直接投資する以外に認定投資事情有限責任組合や証券会社を経由する方法があります。

それぞれで確認申請の方法が異なるため注意が必要です。

事前確認制度を利用しよう

自身がエンジェル税制の対象であるかをベンチャー企業側が確認できる、事前確認制度があります。

この制度によってエンジェル税制の適用企業であることを事前に確認できると、投資家に対する大きなアピールとなります。

事前確認が取れた場合は経済産業省のホームページで会社名を公表できるので、投資に向けて大きく歩を進められるでしょう。

実際に投資を受ける際にはあらためて適用確認が行われますが、一部の書類提出を省けるなどのメリットもあります。

中小企業庁のホームページには要件を満たすかを自身で簡易的に判定できるエンジェル税制要件判定シートもあるので、一度確認してみることをおすすめします。

エンジェル税制まとめ

エンジェル税制はベンチャー企業を応援する投資家のために減税などの優遇措置を行う制度です。

投資を行った年と株式を売却した年それぞれで減税の適用を受けることができ、翌年以降に繰り越しての損益通算も3年にわたって行うことができるので効果的に節税ができます。

対象企業の要件は受ける優遇措置のタイプによっても異なるため事前によく確認しておきましょう。

手続きの流れは企業が税制適格の申請を行った後に確認書の交付を受け、それを受け取った投資家が税務署で確定申告を行い税金の還付を受ける形になります。 事前確認制度なども利用してエンジェル税制を積極的に活用しましょう。