玄米食のすすめ
今さらですが、まず玄米と普通の白米の違いについて簡単に触れておきましょう。
ともにイネからとれる食物ですが、玄米はイネの果実である籾から籾殻(もみがら)だけを取り除いた状態のもの、白米は玄米からさらに糠(ぬか)と胚芽を取り除き精白を行った状態のものです。
白米として残る部分は籾の中にある胚乳と呼ばれる部分です。
糠の層を全部取り除かずに残した状態のものを、精白した割合に応じて3分づき米、5分づき米、7分づき米といい、糠をすべて除去して胚芽を残したものを胚芽米といいます。
玄米を食べることは、白米食をメインにする場合と比べてメリットがあります。
- 栄養価が高い
- 満腹感が得やすい
玄米のメリット
玄米はビタミンやミネラル、鉄分などの栄養を豊富に含む健康食品です。
玄米を白米へと精白する過程で糠の層を取り除かれますが、じつはこの糠の部分にそれらの栄養が豊富に含まれているのです。
白米に比べると玄米には、カルシウムが2.3倍・マグネシウムは7倍・鉄分は6倍で、現代人に不足しがちな食物繊維も4.7倍近く含まれています。
白米から玄米に変えるだけでこれだけの栄養を摂れるのは、大きなメリットであると思います。
満腹感が得やすい
すでに述べたように、玄米は糠が残ったままのお米ですが、表皮である糠はセルロースという繊維質でできていて歯応えがあるため、必然的によく噛んで食べることになります。
玄米が白米に比べて腹持ちが良く満腹感が得やすいといわれるのはこのためです。
よく噛んで食べることで唾液の量が増えて消化も助けられるほか、早食いによる食べ過ぎを防ぐ作用もあります。
玄米と白米でカロリーはそれほど変わりませんが、食べる量が同じでしかも満腹感を得られるため、結果的に健康的な食生活を送りやすくなるのです。
玄米のデメリット
玄米にはフィチンとアブシジン酸という2つの生物毒が含まれていることから、中毒を恐れて敬遠する人も少なくありません。
生物毒とは、生物や植物が自身を守るために有している毒のことですが、この毒は調理方法で無毒化できることがわかっています。
フィチンは体内でイオンと結合することでフィチン酸へと変化しますが、このフィチン酸は諸刃の剣のような物質で、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを破壊する作用と、有害な物質の排出を助けるデトックス作用を併せ持っています。
植物ホルモンの一種であるアブシジン酸は植物の発芽を抑制する作用をもつ物質で、体内のミトコンドリアを破壊して免疫力の低下などを引き起こす恐れがあります。
これら2つの生物毒を無毒化する方法は、玄米を水に浸して発芽させてから炊飯することです。
浸水させることでフィチン酸の悪影響が抑えられ、発芽させることでアブシジン酸も無毒化できます。
発芽までの時間は季節によっても変わりますが、24時間から48時間程度浸水させておく必要があります。
そもそもこれらの毒による影響はわずかなもので気にする必要はないとする専門家もいます。
心配な方は、玄米を食べるときはよく浸水させて発芽したものを炊くようにすれば安心です。
消化が悪そう?
よく噛んで食べることで満腹感が得られる点をメリットに挙げましたが、これは裏返すとよく噛まなければ消化に悪いということでもあります。
玄米の特長でもある糠は本来消化しにくい成分のため、玄米を白米と同じように炊いたのでは硬く食べにくい状態になってしまいます。
前項で説明したように浸水させておくことで糠が柔らかくなりますが、これだけでは不十分。 炊き方にもコツがあります。
玄米を上手に炊くポイントは水の量と時間です。 水の量は玄米の1.5倍から2倍程度にします。
通常白米1合に対して水は200mlが適量ですが、玄米1合に対して水は約300mlを目安にしましょう。
玄米や炊飯器の種類によっても微妙に変わってくるので、ご自宅の炊飯器で最適な量を見つける必要があります。
白米と同様、炊き上がったらすぐにご飯を切るように全体を混ぜ、再度蓋をして10分から15分ほど蒸らすことで、玄米がふっくらとします。
100%玄米が苦手なら
どうしても玄米の味や歯応えに慣れない場合は、白米と玄米を混ぜて炊いたり、7分づきや5分づきなどのいわゆる「分づき米」で白米のような感覚でおいしく頂けます。
最近では、胚芽米に設定できる機能のついた精米機もお安く販売されています。
我が家で使用している山本電機の「家庭用精米機 MICHIBA KITCHEN PRODUCT匠味米」は、玄米・白米から"無洗米”に、玄米から分づきを1~7まで細かく設定したり、”胚芽米”も選択できます。
玄米まとめ
玄米はビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含む栄養価の高い食物です。
栄養の宝庫である糠は歯応えもあるため、満腹感が得やすいというメリットがあります。
ただ玄米には2種類の生物毒を含むため、無毒化するために長時間浸水させて発芽させてから炊飯する必要があります。
こうした手間や炊き方にコツがいること、白米に比べるとやや消化に悪いことなどはデメリットといえます。
圧力鍋を利用すると、炊く前の放置時間不要で玄米も23分でおいしく炊き上がります。
手間をかけてもその栄養価から得られる恩恵はとても大きいので、興味のある人はまずは7分づき、5分づきなど少しだけ白米にして食べやすくするなど、少しづつ玄米食にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。