転職前に知っておきたい大手や外資系の弁護士事務所での働き方
弁護士としてある程度の経験を積んでくると、キャリアアップが視野に入ってくるかもしれません。
転職のために具体的な行動を起こす前に、年収などの条件だけでなく、他の弁護士事務所での働き方についても理解しておきましょう。
特にこれまでの弁護士事務所と規模が異なる場合や、外資系の事務所に移る時には注意が必要です。
大手弁護士事務所の働き方
中堅規模の弁護士事務所や小規模の事務所から大手弁護士事務所で働くようになると、働き方は大きく変わることになります。
大手弁護士事務所とは?
大手弁護士事務所の定義については、はっきりしたものはありませんが、通常であれば所属している弁護士が100名を超えると大手に含まれます。
大手弁護士事務所は扱っている案件の多くは企業法務案件となるため、仕事の内容もこれまでと変わってくる可能性が高くなります。
大手弁護士事務所での競争は激しい
所属している弁護士の数が100名から500名ほどになると、それまでの小規模弁護士事務所とは比較にならないほどの熾烈な競争が待っています。
通常、大手に所属する弁護士は以下の2種類に分類されます。
- アソシエイト
- パートナー
アソシエイトとは、弁護士事務所に雇用されている弁護士のことで、パートナーとは出資者としての立場を有する弁護士のことです。
つまりパートナーと呼ばれる弁護士の方が、立場が上ということです。
大手法律事務所に移籍すると、アソシエイトから始めることになり、激戦を勝ち抜いてパートナーに抜擢されることを目指します。
しかし、全てのアソシエイトがライバルであり、優秀な成果を残した者だけがパートナーに抜擢されます。
大手弁護士事務所の働き方
弁護士として働いているので、就業時間はきちんと法律に則って8時間労働であると思われる方も多いですが、実際はそうではないようです。
朝9時から5時までの就業時間ですが、「大手弁護士事務所では朝5時まで」と皮肉を込めて言われることもあります。
実際にアソシエイトとして事務所に勤務している弁護士のデータによると時間外労働時間は次のようになっています。
- 週40時間から49時間以上の:22.2%
- 週50時間から59時間以上:29.0%
- 週60時間以上:30.7%
- 週80時間以上:4.0%
この数字を見る限り時間外労働が非常に多く、事務所によっては毎日10時間以上というところもあります。
ですから朝9時から朝5時までという話も、あながち冗談であるとは言い切れません。
大手弁護士事務所で働く弁護士の中で、キャリアが15年未満のアソシエイトの場合、経験と知識ゆえに多くの仕事を任される傾向があります。
結果として就業時間が長くなるわけです。
外資系弁護士事務所での働き方
外資系法律事務所に注目が集まったのは2000年になってからのことです。
特に2003年に外弁法の改正によって、外国人の弁護士が他の弁護士を雇うことが可能となり、さらに共同事業も自由に行えるようになったことは大きな要因と言えます。
外資系法律事務所とは?
外資系弁護士事務所とは、外国の弁護士事務所の傘下に入っている、もしくはその事務所と提携関係を結んでいる弁護士事務所のことを指します。
基本的には弁護士事務所の資本が外国由来という意味になりますが、グローバル化によって海外に進出している事務所も外資系と名乗ることもあります。
外資系弁護士事務所で行う業務内容とは?
外資系弁護士事務所と言っても、日本の企業がクライアントになることもあり、全てのクライアントが海外企業という事ではありません。
主な業務は一般企業法務に加えて、株式や社債など企業の資金調達と金融、会社買収などを扱います。
但し、クライアントが海外企業という事になれば、当然現地の法律に従ってアドバイスを行っていくことになります。
外資系の法律事務所での働き方
外資系弁護士事務所と聞くと、英語が必須ではないかと思われるかもしれません。
確かに事務所内では英語が基本言語になりますし、クライアントとの取引も英語になります。
ですから英語が堪能であればあるほど、事務所内での評価は高まりますし期待もされるでしょう。
しかし国内のクライアントもいるため、必須項目として考える必要はなく、事務所によって見解は異なります。
外資系の法律事務所と国内事務所の就業時間を比較すると、外資系の方が時間外労働は少なめと言われています。
ただしクライアントが海外になることも多く、通常の就業時間以外に連絡を取ることも増えてきます。
とはいえ、事務所内での仕事が個々の担当者で細分化される事が多いため、時間のコントロールは大手よりもしやすいと言われています。
大手の弁護士法律事務所・外資系事務所への転職まとめ
現在の弁護士事務所から大手もしくは外資系の事務所に転職するのは、キャリアアップとして魅力的です。
年収もアップする可能性もありますが、何よりもこれまで接するがことのなかったような仕事に出会えるチャンスもあります。
その分だけ苦労も増えるかもしれませんが、非常に充実した弁護士生活を贈ることができるはずです。
大手の弁護士事務所や外資系の弁護士事務所に転職する際は、この記事でご紹介した仕事内容の変化を理解しておきましょう。