弁護士の仕事内容と年収相場
理想の職業として弁護士を目指しておられる方も少なくないでしょう。
弁護士の職場には、大きく分けると法律事務所と企業内という2種類の場所があり、どこで働くかによって年収もだいぶ変わってきます。
実際に働き始めてから、どこの事務所で働くべきなのか決めることもできますが、あらかじめ年収や仕事内容の違いについて理解しておく事も大切です。
弁護士の平均年収
まずは弁護士全体における年収を確認してみましょう。
- 弁護士全体の平均年収
- 経験年数による年収の違い
- 年収の分布
弁護士の年収について上記の3つのデータを見てみましょう。
弁護士全体の年収とは?
弁護士の平均年収について日弁連が行った実勢調査結果があります。
- 2006年:3,620万円
- 2008年:3,389万円
- 2010年:3,304万円
- 2014年:2,402万円
同じ調査での所得の平均値はこちらです。
- 2006年:1,748万円
- 2008年:1,667万円
- 2010年:1,471万円
- 2014年:907万円
このデータを見てみると、弁護士の年収や所得は年々減少傾向にあり、2006年と2014年を比較すると、年収と所得共に1,000万円以上減少しました。
まだまだ他業種と比較するなら高水準で推移していますが、あくまで平均値になるので、人によっては生活するので精一杯という方もいます。
弁護士の経験年数による年収の推移
先程、紹介した年収は全ての世代を一緒にして計算していますので、ここでは経験年数別の年収の違いをご紹介します。
- 5年未満:796万円
- 10年未満:1,679万円
- 15年未満:2,285万円
- 20年未満:2,971万円
- 25年未満:4,101万円
- 30年未満:4,290万円
- 35年未満:4,750万円
- 35年以上:3,414万円
このように年収がピークになるのは、35年ほど弁護士としての経験がある方で、年収は4,750万円です。
弁護士の年収の分布
さらに弁護士全体の年収の分布(2,686人への調査)についても見てみましょう。
- 200万未満:72人(2%)
- 200万以上500万未満:230人(8.5%)
- 500万以上750万未満:415人(15%)
- 750万以上1,000万未満:289人(10%)
- 1,000万以上1,500万未満:438人(16%)
- 1,500万以上2,000万未満:267人(10%)
- 2,000万以上3,000万未満:347人(13%)
- 3,000万以上5,000万未満:295人(11%)
- 5,000万以上7,500万未満:136人(5%)
- 7,500万以上1億未満:42人(1.5%)
- 1億以上:53人(2%)
- 無回答:102人(3.8%)
このデータを見ると、年収が200万以下という弁護士の方が72名もおり、所得にすると95万円となってしまいます。
かなり生活が厳しくなっている弁護士の方もいらっしゃいます。 では、企業内弁護士の年収についてみていきましょう。
企業内弁護士の平均年収
近年、企業の海外への進出などによって企業内で働く弁護士の方も増えてきました。
では企業内弁護士として働く方の年収を、弁護士平均の年収と比較してみましょう。
数字は、アンケート人数に対する割合になります。
- 250万未満:2.2%
- 250万以上500万未満:11.7%
- 500万以上750万未満:32.8%
- 750万以上1,000万未満:19.5%
- 1,000万以上1,250万未満:11.5%
- 1,250万以上1,500万未満:9.1%
- 1,500万以上2,000万未満:6.5%
- 2,000万以上3,000万未満:3.3%
- 3,000万円上:3.5%
企業内弁護士の年収と弁護士全体の年収平均を比較すると、年収の最大値は企業内弁護士方が圧倒的に低くなります。
つまり、全体的に企業内弁護士の方が年収は低くなるということです。
例えば、弁護士全体では1,000万円以下の年収の弁護士の割合が35%であるのに対し、企業内弁護士は46%以上が1,000万円以下の年収です。
年収の最大値も、平均的な年収も企業内弁護士の方が低いという計算になります。
法律事務所と企業内弁護士のどちらの方が良いのか?
年収だけを見ると、法律事務所で働く方が良いと感じるかもしれません。
但し同じ法律事務所であっても、事務所の規模によって年収は大きく変わってくるため、単純に企業内弁護士よりも良いとは言い切れません。
法律事務所でも年収が異なる
- 大手法律事務所;年収1,200万円から1,500万円
- 中堅法律事務所:年収600万円から900万円
- 個人事務所:年収500万円から700万円
このように事務所によって数百万円の差が生じているので、法律事務所を選択するのであれば大手事務所の方が良いということになります。
企業内弁護士の年収
弁護士事務所の規模によって年収が異なるように、企業内弁護士も企業の規模によって年収が異なります。
- 大企業の弁護士:平均年収1192.5万円
- 中企業の弁護士:平均年収986.9万円
- 少企業の弁護士:平均年収894.4万円
このように企業の規模によって、最大約300万円ほどの年収差が発生しています。
注目できるのは法律事務所の規模による年収差ほどにはなっていないことです。
企業内弁護士の方が、年収が比較的安定していることや福利厚生が手厚いという特徴もあります。
どちらが良いという事ではなく、どちらが自分に合っているのかという観点で選ぶ方が良いと言えます。
法律事務所と企業内弁護士の年収まとめ
法律事務所と企業内弁護士の年収は異なっており、より高額の報酬を望む場合は法律事務所で昇進していく方が良いでしょう。
しかし企業に雇われる企業内弁護士の方が、給料は若干少なくなるものの、安定した収入と手厚い福利厚生を受けることができます。
大手法律事務所の場合は、弁護士の数が数百人になることもありますが、企業であれば競争自体は少なくなる傾向があります。
いずれにしても年収を優先して職場を決めるのか、それとも環境や安定を望むのか、個人によって結論は変わってくることになります。