行政書士が行う法務サービスの内容とは【司法書士の仕事との違い】
法律関係の仕事にも様々な肩書きがありますが、そんな中に行政書士という職業があり、他の士業との違いがよくわからない人も多いと思います。
行政書士には弁護士などの法律家に比べて国民密着型というイメージがあり、割ととっつきやすい印象がありますが、実際のところどのような法務サービスができるのでしょうか。
その仕事内容についてまとめてみました。
行政書士とはどのような職業か
行政書士は8士業のうちの一つで、国家資格を有しています。
戦前には代書人制度というものがあり、それが戦後になり国民生活の利便性を図るため行政書士法が施行されて、行政書士と呼ばれる職業が生まれました。
行政書士になるための条件
行政書士は国家資格が必要ですので、勝手に名乗ることはできません。
行政書士の資格を得るには、以下の方法があります。
通常は行政書士試験を受けるわけですが、弁護士などが行政書士を兼任することもあるということです。
ただし弁護士は法律業務全般を扱うのに対し、行政書士は専門性が高いので、やはり行政書士に依頼した方がいい案件があるわけです。
ちなみに法律事務所とは弁護士事務所のことで、行政書士事務所には必ず事務所名に行政書士という文言が入っています。
行政書士と司法書士との違い
簡単に言えば、司法書士の管轄は法務省で、主な仕事は登記です。
それに対し行政書士の管轄は総務省で、戦前の代書人から発展した職業であることでもわかるように、書類の作成が主な業務です。
行政書士は、契約書や官公署に申請する際に提出する書類などを、依頼人に代わって作成します。
ただし司法書士は裁判所に提出する書類を作成ができますが、行政書士には認められていません。
行政書士の仕事内容
行政書士は、国民に密着した法務サービスを行うことを前提としています。
一般の人にとってわかりづらい法律のことや手続きなどを、行政書士が代行するわけです。
煩雑な書類作成や手続きの代行
普段、我々が生活しているときは身近に感じられない法律も、何かを始めたいときやトラブル等があった場合は途端に現実のものとなります。
そうなるとまごついてしまいますが、そんなとき頼りになるのが行政書士です。
身の回りで起こり得る事案に対し、行政書士には以下のような法務サービスがあります。
これらの手続きは非常に煩雑ですが、そういうときは行政書士に任せればいいのです。
高齢化社会に対応する行政書士
高齢化社会になり、様々な問題が発生しています。
遺言書の不備のために、相続争いが起こったなどというニュースはよく見るでしょう。
そんなときは行政書士に依頼してください。
行政書士が法律的に不備のない遺言書の作成をサポートしますし、相続財産および相続人の調査なども行います。
また、認知症などで判断力を失った人に対しても、成年後見人として支援します。
交通事故での保険金請求
交通事故に遭った場合、加害者が任意保険に加入していればまだいいのですが、もし自賠責保険のみだったら厄介です。
被害者が保険金請求を行おうとしても、なかなか素人が不備のない書類を作成できません。
そんなとき行政書士が、保険金請求の書類作成や手続き準備を代行してくれます。
国際化社会でも行政書士が活躍
現在は国際化社会となり、多くの外国人が日本にやって来るようになりました。
そんな中、国際結婚をする人も増えています。
その際には様々な手続きが必要となりますが、それも行政書士がやってくれるのです。
それ以外でも、在留資格や日本国籍取得なども行政書士が請け負います。
商売などを始めるときに欠かせない許認可申請
たとえば飲食業を始めるとき、必ず許可が必要です。
その場合、官公署に提出する許認可申請書を作成してくれるのが行政書士です。
飲食業許可のほかにも建設業許可、旅館営業許可、貸金業登録など、その数は1万を超えるでしょう。
もちろんこれらの許認可申請書に法律の不備があれば許可は下りませんが、法律のプロである行政書士が精査し、万全の書類を揃えるわけです。
その際にも、ただ単に法律と照らし合わせるだけではなく、クライアントとの打ち合わせや土地などの調査も欠かしません。
行政書士の仕事内容のまとめ
行政書士が行う法務サービスは、普段は法律を意識しない生活を送っている人でも、法的な手続きが必要になったときにサポートする仕事です。
多くの人は法律と聞いただけで拒否反応を起こしますが、行政書士は法律関係で困ったことがあった際に助けてくれる、身近な法律のプロと言えるでしょう。
行政書士は、我々が気付かないところで役に立っている、縁の下の力持ち的な存在なのです。